非常用信号灯と赤色灯の違い正しく理解できていますか?
2024年、TEAM NENCではラリー安全装備に関する規定の解釈で戸惑う場面がありました。改めて基本に立ち返り、正しい装備について確認しておきましょう。
規定の出典
安全装備に関する規定は、「ラリー競技開催規定細則:スペシャルステージラリー開催規定」に記載されています。
【第4章 参加者およびクルーの遵守事項】
第32条 安全装備
スペシャルステージラリーに参加するクルーおよび車両には、次の安全装備が義務付けられています。
また、オーガナイザーは特別規則書に明記することで、より高規格の装備や追加の安全装備を義務付けることができます。
1.クルーが着用するもの
- 国内競技車両規則第5編細則に適合したヘルメット
- 同細則に適合したレーシングスーツ
- ドライバーはグローブを必ず着用すること
- 【国際格式競技の場合】
スペシャルステージ走行中は、ホモロゲーション認証を受けたヘルメット、安全衣服、付則L項第3章に定められた装備を着用し、安全ベルトを確実に装着すること。違反があった場合はペナルティが科され、審査委員会への報告が行われます。
2.参加車両に搭載するもの
- 非常用停止表示板(三角表示板)2枚
- A3サイズのカード2枚(片面に「SOS(赤字)」、もう片面に「OK(緑字)」と記載)
- 非常用信号用具
- 牽引用ロープ
- 救急薬品
- 規定に適合した消火器
※自動消火装置の場合は「ARMED」状態にし、即時噴射可能な状態にすること。手動消火器のみで規定を満たす場合はこの限りではありません。
グローブの着用について
規定細則にはグローブについての詳細な記載はありませんが、「スペシャルステージラリー開催規定」にはドライバーはグローブを着用することと明記されています。
装着するグローブに関する厳密な規定はありませんが、安全性を考慮し、FIA公認のレーシンググローブの着用を強く推奨します。
非常用信号用具と赤色灯の違い
最近の車検では、「非常用信号用具」が原因でトラブルになるケースが増えています。この装備に関しては、スペシャルステージラリー開催規定では明確な個数や種類が示されていません。そのため、シリーズ規則書や特別規則書をよく確認し、必要な装備を正しく搭載することが重要です。
■ 非常用信号灯とは?
標準装備の発煙筒がこれに該当します。また、LED式の非常用信号灯も使用可能です。
■ 赤色灯とは?
赤色に常時点灯するライトを指します。LEDの点滅式ライトは非常用信号灯に分類され、赤色灯の代用にはなりません。
【重要な解釈ポイント】
「赤く光れば点滅でも良い」と誤解しがちですが、もし非常用信号灯で赤色灯の代用が可能であれば、規定書には「非常用信号灯×2」と記載されるはずです。実際には「非常用信号灯」「赤色灯」と別々に記載されており、これは別個に用意すべき装備であることを示しています。
なお、赤色灯の記載は「第2種アベレージラリー開催規定」に由来するもので、古い規定の名残と考えられます。現在のスペシャルステージラリーでは必ずしも明示されていない場合もありますが、シリーズ規則書に「非常用信号灯、赤色灯」と記載されている場合は、常時点灯する赤色ライトを用意しておくことをおすすめします。
必要な装備を正しく整え、安全かつ安心なラリー参戦を心がけましょう。以上TEAM NENCコラムでした。