第5条 ロールケージ
5.1 )RRN車両は、FIAまたはASNによって公認されたロールケージを装着しなければならない。ただし、グループNとして公認された車両は、2016年FIA国際モータースポーツ競技規則付則J項第253条第8項に従ったロールケージを装着することも許される。
5.2 )RJ車両は、JAF国内競技車両規則第1編レース車両規定第4章公認車両および登録車両に関する安全規定に従ったロールケージを装着し、かつ運転席および助手席側に左右対称に構成されたドアバーの装着が義務付けられる。また、同規定におけるルーフの補強に関する第4−17A図および第4−17B図の構成は認められない。第1編レース車両規定第4章6.3.2.1.4)については適用せず、推奨とする。また、JAF国内競技車両規則第1編レース車両規定第4章公認車両および登録車両に関する安全規定第6条6.3.5)防護のための被覆に従うこと。なお、FIA国際モータースポーツ競技規則付則J項第253条第8項1およびJAF国内競技車両規則第1編レース車両規定第4章公認車両および登録車両に関する安全規定第6条6.1)のうち下記※については2025年より全車両に義務付けられる。
※コクピット内部において、車体側面の部材とロールケージの間に次のものを通すことは禁止される。
−電気ケーブル
−液体(ウインドウォッシャー液を除く)用配管
−消火器用配管
FIAまたはASNによって公認されたロールケージの使用は許されるが、アルミニウム製ロールケージの使用は許されない。公認ロールケージに対する改造はいかなるものでも認められない。ロールケージの材質はスチールとし、下記の規定に従うこと。
5.3 )2016年11月1日以降に指定を受けた型式指定自動車および2016年10月31日以前に指定を受けた型式指定自動車で2018年11月1日以降に継続生産された車両に上記4.1)または4.2)に従いロールケージを装着する場合は、別途定める手続きに基づき、JAFに申請を行うこと。
5.4 )RPN車両、RF車両およびAE車両は、下記のロールケージを装着すること。
5.4.1 )6点式+左右のドアバーを基本構造(第2−6図~第2−7図参照)とし、第1章一般規定第5条に従い換算した後の気筒容積が2,000㏄を超える車両については、少なくとも1本の斜行ストラット(第2−8図~第2−9図参照)を取り付けたロールケージを装着することを強く推奨する。なお、2020年以降に初度登録された車両のRF車両については、装着すること。なお、ラリー競技開催規定におけるスペシャルステージラリー競技開催規定に従った競技会に参加する場合は、当該規定に従うこと。

5.4.2 )ロールケージを構成するパイプの仕様
①材質は冷間仕上継目無炭素鋼(引抜鋼管)とする。
②円形の断面を有する継目のない1本のパイプを使用すること。
③最小寸法は40mm(直径)×2mm(肉厚)とする。
④最小寸法以下のパイプで構成されるロールケージをすでに装着している車両については、当該ロールケージを継続使用することができる。ただし、メインロールバーとハーフ・サイドロールバーのうち、少なくとも一方が最小寸法未満である場合は、第2−10図に示される通り、それらの連結部を補強しなければならない。上記に関わらず、35mm(直径)×2mm(肉厚)未満のパイプの継続使用は認められない。

5.4.3 )遵守事項
ロールケージの装着に関して下記の規定に従うこと。
①ロールケージを取り付けた状態における乗車装置は、座席面上で座席前端より200mmの点から背もたれに平行な天井(ロールバーが頭部付近にある場合はロールバー)までの距離が800mm以上であること。
②乗員の頭部等を保護するため、頭部等に接触する恐れのあるロールケージの部位は、緩衝材で覆われていること。
③乗員が接触する恐れのあるロールバーは、半径3.2mm未満の角部を有さないものであること。
④ロールケージを取り付けることにより、前方視界およびバックミラーによる視界を妨げるものでないこと。
⑤ロールケージを取り付けることにより乗員の乗降を妨げるものでないこと。
なお、ロールケージの取り付けにより後部乗員のための室内高の確保および乗降口等の確保ができない場合には、各運輸支局等において乗車定員変更のための構造等変更検査の手続を行うこと。
⑥ロールケージ取り付けのための最小限の改造(ダッシュボードの貫通、内張りの切削等)は許される。
⑦AE車両については、高電圧部位およびその配線などに接触の恐れがないように取り付けること。
⑧2016年11月1日以降に指定を受けた型式指定自動車および2016年10月31日以前に指定を受けた型式指定自動車で2018年11月1日以降に継続生産された車両に上記に基づくロールケージを装着する場合、フロントロールバーあるいはサイドロールバーのフロントの支柱の補強バー(第2−11図~第2−13図参照)を取り付ける場合は、別途定める手続きに基づき、JAFに申請を行うこと。

5.4.4 )車体への取り付け
ロールケージの最少取り付け点数
・メインロールバーの支柱1本につき1ヶ所。
・サイドロールバー(あるいは、フロントロールバー)の支柱1本につき1ヶ所。
・リアストラットの支柱につき1ヶ所。
①支柱側の最少取り付け点における車体への取り付け板は、面積60cm2、板厚2.5mm以上を有すること。この取り付け板は支柱に溶接されていなくてはならない。
②車体側の補強板は、面積120cm2、厚さ3.0mm以上を有し、第2−14図~第2−28図(全周を溶接すること)に示すように取り付けること。但し第2− 14 図については、補強板を必ずしもボディシェルへ溶接しなくともよい。
③各支柱と車体との結合は、下記のいずれかの方法によること。
i)直径8mm 以上(4T以上)のボルトを3本以上使用し、緩み止め効果のあるナット(ワッシャー/セルフロッキング等)で、支柱の周辺に分散して取り付ける。(第2−14図~第2−28図を参照)
ii)溶接により取り付ける場合、車体あるいは骨組み(フレーム)に溶接して取り付ける。ロールバーの脚部取り付け板は、補強板無しで、直接ボディシェルに溶接してはならない。
i)および ii)の取り付け方法は最少限を示すものである。ボルトの数を増加することや取り付け点の数を増やすことは許される。また、ロールケージを取り付けるためにヒューズボックスを移動することは許される。
特殊な場合:
非鋼鉄製のボディシェル/シャシーの場合、ケージとボディシェル/シャシーとの溶接は一切禁止され、ボディシェル/シャシー上に補強板を接着することのみ許される。
④RPN車両およびAE車両のロールバーの基本取付け部の車体への取り付けは、原則として連結部を含めボルトオンとする。但し、溶接により取付する場合は、JAF国内競技車両規則第1編レース車両規定第4章公認車両および登録車両に関する安全規定に従ったロールケージを装着し、かつ運転席および助手席側に左右対称に構成されたドアバーの装着が義務付けられる。また、同規定におけるルーフの補強に関する第4−17A図および第4−17B図の構成は認められない。第1編レース車両規定第4章6.3.2.1.4)については適用せず、推奨とする。
i)メインロールバーはセンターピラーにボルトオンで取り付けることができる。
ii)ピラーの既存の取付部(シートベルト等)等を利用したボルトによる取付のみが認められる(車体側の加工は出来ない)。
iii)ロールバーにステーを溶接することは認められる。
5.4.5 )取り外し可能な連結金具
ロールケージに取り外し可能な連結金具を使用する場合
JAFが認可した方式、あるいはそれに準拠したものを用いなければならない(第2−29図~第2−36図参照)。
ボルトの最小直径は十分なもので、材質は4T以上のものでなければならない。



解説
第5条では、ラリー車両に装着するロールケージの基準を定めています。5.1では、RRN車両はFIAまたはASN公認のロールケージを装着し、グループN車両は2016年FIA規則付則J項第253条第8項のものも使用可能です。5.2では、RJ車両はJAF規定に従い、左右対称のドアバーが必須で、2025年からは車体側面とロールケージ間に配管等を通すことが禁止されます。材質はスチール限定で、アルミニウムや改造は不可です。5.3では、2016年11月以降の型式指定車等に装着する場合、JAF申請が必要です。5.4では、RPN、RF、AE車両は6点式+ドアバーのロールケージを基本とし、2,000cc超の車両は斜行ストラットを推奨(2020年以降のRF車両は必須)。パイプは冷間仕上スチール、直径40mm×肉厚2mm以上で、乗員保護や視界確保が条件です。車体への取り付けは補強板とボルトまたは溶接で固定し、AE車両は高電圧部への接触を避けます。これらは安全性を高めるための規定です。