3.1 )エンジンルーム内の機械部品を覆うことを目的としたプラスチック製エンジンシールドで、美観を保つこと以外に機能を有さないものであれば、取り外しても良い。また、エンジンルーム内の防音材の取り外しは認められる。
3.2 )アクセルケーブルの交換または二重化は認められる。また、フライバイワイヤー方式(電気信号により操作するもの)を機械式に変更することも許される。
3.3 )ボルトおよびねじは同じ材質であれば変更することが許される。
3.4 )点火装置
スパークプラグ、レブ・リミッター、ハイテンションコード・イグニッションコイルの銘柄および型式はその機能が維持されていれば変更することが許される。
3.5 )電子制御装置
変更は許されるが、変更されたユニットは当初のものと完全に互換性がなければならない。すなわち、いかなる場合であっても当該ユニットを量産ユニットと交換してエンジンが正常に稼動しなければならず、入力側のセンサーおよびアクチュエーターはその機能を含みメーカーラインオフ状態の仕様と同一であること。
3.6 )データロギング(エンジン制御データおよび実走行データ記録装置)
データロギングシステムの使用は認められるが、入力側のセンサーはその機能を含みメーカーラインオフ状態の仕様であること。ただし、水温、油温、油圧、エンジン回転についてはセンサーの追加も認められる。ケーブルリンクおよびチップカード以外の方法による車両のデータ変更は認められない。
3.7 )冷却装置
サーモスタット、および冷却ファンの作動開始時の温度は制御方式(ファンクラッチ)を含み自由。ラジエターキャップおよびホース類の変更は自由。
3.8 )キャブレター
当初の装置が保持され、かつ燃焼室への燃料の流入量を調整する構成部分が空気量に影響を一切与えないということを条件に改造することが認められる。
3.9 )インジェクションシステム
当初の方式を変更することは許されない。インジェクターは、作動原理および取り付け方法を保持していれば流量の変更は認められるが、構成部品が吸入空気量に影響を一切与えないことを条件とする。
3.10 )エアクリーナー
エレメントの変更のみ自由。
3.11 )潤滑油系統
オイルパンへのバッフル(仕切り板)の追加が認められる。当初の方式を維持していればオイルフィルターカートリッジの変更も認められる。オイルクーラーの変更および取付けも認められる。ただし、新たに取付ける場合は、配管については第2章第1条に従った配管とすること。ターボチャージャー付きエンジンについては、ターボチャージャーの潤滑配管を、第2章第1条に従った配管に置き換えることができる。これらの配管にはスナップ・コネクターを取り付けることができる。
3.12 )マウント・ブッシュ
エンジンおよびトランスミッションマウントのブッシュは、取り付け点の数を維持し、取り付けマウントの部材は、材質および形状の変更を含み加工および変更することが出来る。
3.13 )排気系(エキゾーストマニホールドは含まれない)
変更は許されるが、下記の規定を満たしていなければならない。変更する場合、第5編細則「ラリー車両およびスピードSA車両の後付マフラーに関する細則」に留意すること。なお、オーガナイザーは当該競技会特別規則に規定することによって、音量を規制することができる(マフラーおよび排気管の変更について制限することも含む)。
①排気管は左または右向きに開口してはならない。
②触媒コンバーター、排気ガス再循環装置、O2センサー、二次空気導入装置等が当初の通り取り付けられていること。
③遮熱板等の熱害対策装置は同一の構造を有し、かつ同じ位置に備えられ損傷・脱落がないこと。
④いかなる場合も、当該車両の保安基準適合品への変更であり、音量規制値および排気ガス規制値に適合していること。
3.14 )シリンダーヘッドガスケット
当初の厚さを維持していれば材質の変更は許される。
3.15 )オートクルーズ
装置の接続は外すことが許される。
3.16 )総排気量
自動車製造者が当該型式原動機の補修用として設定しているオーバーサイズピストンを含み変更は認められない。
3.17 )過給器
過給器付きエンジンについては下記の規定が適用される。
①過給器はメーカーラインオフ状態の仕様と同一でなければならない。
②すべての過給器のコンプレッサーハウジングの吸気側にいかなる温度条件下においても最大内径33mm(外径:39mm未満)のリストリクターを装着しなければならない。ただし、並列する2基のコンプレッサーを有するエンジンの場合、各コンプレッサーの吸気内径は最大22.6mmに制限される。
③リストリクターの取り付けは、ブレードの最上部から50mm以内とし最低でも下流方向に3mmの幅が維持されていること。 ④リストリクターは単一の素材で作られていなければならず、シリンダーに供給される空気はすべてこのリストリクターを通過しなければならない。
⑤スーパーチャージャー付き車両についてはリストリクターの装着は不要とするが、システム駆動関係のプーリー径の変更は認められない。ただし、リストリクター装着車両との性能の均衡が保たれない場合には、本取り扱いを見直す可能性がある。
⑥過給器のコンプレッサーハウジングの内径が市販状態で32mm以下である場合はリストリクターの装着は不要とする。ただし、リストリクター装着車両との性能の均衡が保たれない場合には、本取り扱いを見直す可能性がある。
⑦リストリクターの取り付けについてはFIA国際モータースポーツ競技規則付則J項第254条第6項に準拠するものとし、その取り付けに必要なコンプレッサーハウジングへの最小限の加工は認められる。また、リストリクター取り付けに伴う最小限の部品の変更は認める。
解説
第3条では、RJ車両のエンジンに関する改造ルールを定めています。エンジンシールドや防音材の取り外し、アクセルケーブルの交換・二重化、フライバイワイヤーの機械式変更が認められ、ボルトや点火装置(スパークプラグ等)、電子制御装置の互換性ある変更も可能です。データロギングはセンサー追加(水温等)を条件に許可され、冷却装置やエアクリーナーエレメント、潤滑油系統(オイルクーラー等)の変更も自由度があります。キャブレターやインジェクションは当初の方式を維持しつつ調整可、排気系は保安基準適合品への変更が条件です。過給器はリストリクター装着が基本で、性能均衡を保つ仕様が求められます。これらは安全性と公平性を確保するルールです。