第8条 車体 RPN車両

車体まわりおよび車室内に追加・変更等する蓋然性が高く、安全の確保および公害の防止上支障がない第5編細則に定める「アクセサリー等の自動車部品」の取付け、取外し、変更が許される。

8.1 )車体外部

8.1.1)〜8.1.4)を簡易的(蝶ねじ等)または固定的(ボルト、ナット等)に取り付ける場合を除き、全長、全幅および全高は変更しないこと。

8.1.1 )空力装置

第5編細則「アクセサリー等の自動車部品」に示された空気流を調整するための前後スポイラーを新たに装着、交換することができる。ただし、何れの場合でも下記事項に留意すること。
①最低地上高
②鋭い突起を有していないこと。
③振動、衝撃等により緩みを生じないこと。
④第5編細則に定める「エア・スポイラの構造基準」を参照すること。
また、内部構造が剥き出しにならないことを条件にフロント・リアスポイラー、サイドスカート(フロントフェンダーアーチ後端からリアフェンダーアーチ前端までのサイドステップ部分)およびリアスカートの部品を取外すことができる。

8.1.2 )フロントスポイラー

装着・変更が許される。ただし、一体型を含みバンパーの変更は許されない。

8.1.3 )リアスポイラー

装着・変更が許される。ただし、トランクおよびリアゲートとの一体型は許されない。

8.1.4 )サイドスカート

装着・変更が許される。(フロントフェンダーアーチ後端からリアフェンダーアーチ前端までのサイドステップ部分)

8.1.5 )マッドフラップ

マッドフラップは以下の条件の下で装着することができる。
-柔軟な材質で作られていなくてはならない。
-排気管等に干渉してはならず、車体外側表面部位は外側に向けて尖っていたり、鋭い部分がないこと。
-それらは各ホイールの少なくとも全幅を覆っていなくてはならないが、前輪、後輪の後方ではマッドフラップに覆われていない部分が車両の幅の1/3以上あること(第4−1図を参照)。

-リアホイールの前方のマッドフラップの左右の間には、少なくとも20c mの隙間がなくてはならない。
-これらのマッドフラップの底部は、車両に誰も乗車せず、停止した状態で、地表から10c m以上の所にあってはならない。
-垂直投影面にあって、これらのマッドフラップは車体から突出していてはならない。
前方へのはねを防ぐためのマッドフラップは、柔軟な材質で作られ、競技の特別規則書がそれらを認めるか、要請する時に車両の前部へ取付けることができる。それらは、車両の全幅より突出していてはならず、また当初の全長より10c m以上長いものであってはならない。また、フロントホイールの前方ではマッドフラップに覆われていない部分が車両の幅の少なくとも1/3以上なければならない。

8.1.6 )アンダーガード

車体下部を保護することを目的とした空力効果を生じない取り外し可能な保護体を取付けることが許される。

8.2 )車体内部

8.2.1 )コクピット

次の付属品のみ取付けが許される。スペアコンプリートホイール、工具、安全装置、通信装置。
コクピット内に位置するヘルメットと工具の収納容器は、非可燃性の材質で作られていなければならない。それは火災の場合に有毒ガスを発生してはならない。

8.2.2 )換気装置

オリジナルの換気装置(デフロスター、ヒーター)を保持しなければならない。

8.2.3 )エアコン

全車標準装備とされているエアコンについては、取り外しは認められない。

8.2.4 )内装

車室内の見える範囲のすべての部品は削除することができない。ただし、下記に記載されたものを除く。
①フロアマット類およびアンダーコート
②ネジ等のカバー類
③元の座席位置に隔壁(8.2.11 )を設置することにより運転席と空気の流入が遮断された車室外となる内装。
④ロールバーの装着に伴う最小限の内装切除。
⑤2ボックス車の着脱式リアシェルフは取外しても良い。

8.2.5 )ステアリングホイール

下記の条件を満たしたものと交換することができる。
①スポーク部とボス部は堅固な取付け構造とし、衝撃を受けた場合に容易に脱落する恐れのないこと。
②計器盤の視認性を阻害しない形状をしていること。
③光の反射による運転の妨げとなるような部分がないこと。
④ステアリングホイールの変更により、かじ取装置の衝撃吸収装置に影響を与えるものでないこと。
⑤クイックリリースタイプでないこと。

8.2.6 )フットレスト・ペダルカバーおよびヒールプレート等

装着することができる。ただし、確実に取付けること。

8.2.7 )追加アクセサリー

車両の美観または居住性に関する付属品(照明、暖房、ラジオ等)といった、車両の動きにいかなる影響も及ぼさないものはすべて、制限なく認められる。ただし、これらの付属品が、例え間接的であっても、エンジン、ステアリング、強度、トランスミッション、ブレーキ、ロードホールディングの効率に影響を及ぼすことがないという条件の下に限る。
グローブボックスに追加区画を設けたり、ドアにポケットを追加することができる。ただし、オリジナルのパネルを使用すること。

8.2.8 )一般消耗品

次の消耗品は、変更(同等品)が許される。12 Vバッテリー、オイルフィルター、エアフィルター、ワイパーブレード、バルブ等。

8.2.9 )障がい者用操作装置

障がい者用操作装置を装着することができる。ただし、健常者は使用しないこと。

8.2.10 )座席

変更することが許される。変更する場合は下記の規定を満たすこと。変更の有無に拘わらず乗車定員分の座席を有すること。
①座席の幅×奥行は400 mm×400 mm以上確保すること。
②座席面上で座席前端より200 mmの点から背もたれに平行な天井までの距離は800 mm以上確保すること。
③座席および当該座席の取付け装置は衝突時等に乗員から受ける衝撃力、慣性力等の荷重に耐えるものでなければならない。
④座席の後面部分(ヘッドレストを含む)は、衝突等で当該座席の後席乗員の頭部等が当たった場合に衝撃を吸収することができる構造でなければならない。
⑤追突等の衝撃を受けた場合に乗員の頭部が過度に後傾するのを抑止することができる装置(ヘッドレスト)を備えるかまたは座席自体が同等の効果を有する構造でなければならない。
なお、変更する座席および座席取り付け装置は、上記のほかにFIA国際モータースポーツ競技規則付則J項第253 条第16項2.3.4.5.座席の固定点および支持具を満たしたものであることが強く推奨される。

8.2.11 )隔壁

ロールバーの装着による乗車定員変更に伴い後部座席を除去した場合、難燃性の隔壁板を溶接、リベットおよびビスにより取付けることができる。ただし、隔壁板は後方視界に支障が出ない範囲に設置され、ロールバーやタワーバーと連結されてはならない。

8.3 )補強

8.3.1 )

補強は、使用される材料が当初の形状に沿いそれと接触していれば修正加工を含み許される。複合材料による補強は第5-2図のように片面にのみ許される。また、車体、ならびにサイドシル・各メンバー等の空洞部を第5−3図のように充填することにより補強することができる。また、補修を目的とした溶接等は認められる。

8.3.2 )

車体のサスペンション取り付け部を繋ぐ取り外し可能な(ボルトによる取り付け)補強バーの取り付けは許される。ただし、その取り付け点はサスペンションの取り付け点から100 mm以内であること。また、メーカーラインオフ時に標準装備されているタワーバーについては、取り付け点を変更しなければ他のものに変更できる。

8.3.3 )

スペアタイヤのサイズを変更したことによって、当初の格納カバーが装着できない場合はそれを取り除くことができる。

8.3.4 )

マフラーの補強は脱落防止、破損防止を目的としたものであれば許される。

解説

第8条では、RPN車両の車体および車室内の改造ルールを定めています。安全性と公害防止を確保しつつ、第5編細則「アクセサリー等の自動車部品」に基づく追加・変更が許可されます。8.1で車体外部は、全長・全幅・全高を維持しつつ、空力装置(スポイラー等)やマッドフラップ、アンダーガードの装着が可能。スポイラーは構造基準を満たし、マッドフラップは柔軟材質で幅や隙間を規定。8.2で車体内部は、コクピットに安全装置等の取り付けが認められ、安全ベルト(4点式以上必須)に関連し、座席は衝撃吸収性や寸法(幅・奥行400mm以上、天井高800mm以上)を確保。ステアリングホイールは衝撃吸収性を損なわず変更可。エアコンは取り外し不可、内装は一部(フロアマット等)除去可。8.3で補強は当初形状に沿った材料で可能。